小道にどこからともなくゆずの香りが漂ってくると思ったら、
橋本さん夫婦がゆずを搾るところでした。
「うちくは、もう搾ってしもうたき、皮がほしゅうて。」
ゆずの皮を貰おうと、きみこさんも搾るのを待っている様子。
「あても、娘らにゆず味噌炊いて送っちゃりたいき、ちょっと皮をわけてくれんかね?」
ちーちゃんもやってきました。
ゆずの収穫が落ち着いたら、人にあげる分と、自分の家で使う分の「ゆのす」を搾ります。
余った皮は、ことこと炊いてゆず味噌やジャムに。
「田舎の味」ですが、ゆずのない街で暮らす子どもや孫たちは「おいしい」と喜んでくれます。
な〜んとも、いい香り。
お寿司に酢の物、刺身、鍋、お酒に入れたり、等々...
ゆのすが無い、なんてことになると大変なので1年間使う分を見越してゆずを搾ります。
「あちこちで、ゆのすを待ちゆう人がおるがよ。
うちじゃもう、ゆのすがお歳暮がわりやきねぇ。」
収穫を終えて、ほっとくつろぐと、
お世話になったあの人やこの人の顔が浮かんできます。