木枯らしの吹く、ある秋の日のこと・・
「種を蒔くぞー!」
組合長の一声で若手職員が4、5人集められました。
組合長の言うことには、
村に入ってすぐの急斜面のゆず畑を菜の花でいっぱいにする、とのこと。
「村へ遊びに来てくれた人が、きれいなねぇと喜んでくれるかもしれん。
村のおばちゃんらぁが、菜の花畑を見たらうっとりするろうが」と。
なんだか夢の種でも蒔いているような・・
ほんまに、これで咲くがやろうか?
この崖っぷちの畑が、ほんまに、花畑になるろうかねぇ・・?
若い職員たちは、内心、半信半疑でありましたが
斜面にへばりつき、草を刈りもって
指の隙間からこぼれ落ちそうな小さな菜の花の種を
少しずつ、少しずつ蒔いていきました。
種を蒔いたことなんて、すっかり忘れておりましたが、
春が訪れ、なんと、ゆず畑が一面菜の花畑になりました!
これには、ちょっと感動。
村の子どもや、おばちゃんたちが
「きれいやねぇ」と言ってくれます。