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ゆずの種ものがたり

ゆずの種がこれほどまでに女性の心を惹くとは、思っていませんでした。

なぜなら、ゆずの果実のなかでこれまで不要の産物として扱われてきたからです。

これは、ゆずを愛する私たちが、諦めずに挑戦したゆずの種の物語です。

おいしくない種

11月中旬を過ぎ、ゆずの実も充実してくると、種も丸々と育ちます。

実の中には30個ほどの種が入っており、ゆずを搾ると10個ほど種が出てきます。

家庭で搾るとこんな感じ

皮を剥いて房ごと食べる温州みかんと違い、ゆずは種があってしかも酸っぱくてそのままでは食べられません。さらに、かんきつ類の中でも搾汁率は悪い方で、13%〜18%くらいです(馬路村での数値)。こうしたあまりおいしくない話は全て、種が大きく多く、房に包まれていることが原因なのでした。

フライパンで煎ってみたり、鍋で煮てみたりしましたが、苦くて食べる事はとりあえず諦めました。

そんな頃(約20年程前)、ゆずの種を使って化粧品を作ることが話題になり、雑誌やテレビで紹介されるようになりました。

このブームにあやかろうと乾燥種をナイロン袋に入れ、『ミス馬路村』というネーミングで売り出すと、そこそこ売れる商品になってしまいました。そして誰がテレビ局のディレクターに話を持って行ったのかは不明ですが、テレビ局が馬路村のゆずの種化粧品(ミス馬路村)を全国版の番組で紹介してくれたのです。放送を見ていないので想像ですが、司会者やゲストが、「ゆずの種で肌がきれいになる」とか、言ったのではと思います。なんと放送から1カ月近く電話がつながりにくくなり、嬉しいやら困ったやら複雑な日々でした。

このトレンドも半年で終わりましたが、いつかはゆずの種でスキンケア商品を作りたいと、夢だけは膨らんでいたのです。

種の乾燥に四苦八苦

東京からやって来た人が大量にある種を見て言いました。

「乾燥させて油を搾ってみない?」

この提案に、「面白いねえ!」と気軽に応じた私たちでしたが、その後、乾燥は簡単に出来るものではない事を経験します。

初めは、天日干しで簡単に乾燥すると思っていましたが大変でした。ブルーシートの上に、生の種を広げ乾いてくると、1日に何回も手で揉んで塊をほぐさなければなりません。天候により湿度の管理が難しく天日乾燥はこうした作業が一週間かかるなど無理がありました。

はじまりは扇風機で乾燥していました

そこで導入したのが、大型扇風機。20畳ほどの部屋の天井に8台を並べて取り付け、さらに室内の湿気を取るために、大きな除湿器を据え、真冬に吹く「からっ風」を室内に再現しました。これで完璧です。湿度管理も整い、衛生的でキレイな状態で乾燥させた種が出来たのです。

現在は種専用の乾燥室を使っています
乾燥台車とエベラ
きれいな種の乾燥品

やっぱり答えは現場にある

「さあ!しぼるぞ!」

搾油テストは、食油メーカーに乾燥させた種を持ち込み、有償でしぼってもらう事になりました。種をしぼったらどんなオイルが出てくるのかわくわくしました。そして、あーだこーだと試験的にしぼった結果、琥珀色のオイルがにじみ出てきました!

喜びと満足感に浸る中で、係の人に言われたのは、「価値は無いで。」「あっても天ぷら油くらい。」

「・・・・・・・・・。」

それまでの苦労は何だったのか・・・疲れと共に、明るかった未来が真っ暗になり、種の油は農協の冷凍庫へ。そのまま5年間の凍結案件となりました。

価値をつくる

冷凍庫にあるオイルの事は、心の中では気になっていましたが、その間に種からエキス分を取り出したりして、ゆずの種の素材の研究を重ねる日々が続きました。

初めてオイルをしぼった時「価値がない」と言われましたが、それは誰も基礎研究をしていないだけで、ゆずの種には必ず秘密があると信じ、種の事をずーっと思って来ました。

思い続けていたら、その時は来ました!

ある商社がドイツ製の搾油機の販売を許可することに。それは子会社が行っている油販売の影響を心配して機械は売らないと決めていた事の解禁です。少し高価な機械でしたが、ゆずで活きる村である以上、ゆずの事は徹底的に追求したい!

買いました!

良い機械です!

そうして乾燥種はいくらでも搾油出来るようになったのです。

搾油中のオイル

アロマとの出会い

アロママッサージのオイルといえばキャリアオイル、そしてエッセンシャルオイルですが、いずれも国産オイルはほとんど作られていませんでした。ゆずは、その両方のオイルがとれ、日本を代表するオイルとしてその評価を上げています。

その始まりは、アロマ関係者との出会いにありました。村で研修会や見学、体験教室を開いたり、ゆず果実から採るエッセンシャルオイルを手に入れたくて沢山の人が村に来ました。そんな状況の中、ユズ種子油はキャリアオイルとして人気が上がっていきました。

思えば、食品加工には不要だったゆずの種ですが、ここから、人々の暮らしのなかで生かされ始めることになっていきます。

ゆず研究者との出会い

よく「ゆずは、えい香りやね~」と言われます。その頃の私たちは、ゆずの香りの成分は?と聞かれても、産地の人なのに答えられないのが現実でした。そんな時、この研究に長く関わっていた高知大学農学部沢村正義教授との出会いが、ゆずを徹底して研究し、ゆずの魅力を生み出していく探求につながっていきます。

さらに、室戸市の化粧品製造会社との共同研究からつながり、大学病院の溝渕教授とも出会うことになります。こうして、ゆずに関してはほとんど基礎研究が行われていなかった中で、全てが新しい発見の連続となっていくのでした。

この研究がやがてumajiスキンケアの開発へとつながっていきます。

※沢村正義高知大学名誉教授の研究内容は、「沢村研究室」をご覧ください。

※溝渕俊二高知大学医学部教授の研究内容は、「溝渕研究室」をご覧ください。

またまた大爆発

数年前の冬の事です。テレビ局が『シードオイル』を朝の番組で取り上げてくれました。女性ディレクターが相当気に入ってくださったようで、数日かけて村中で丁寧な取材をしていただき、放送された番組内でもコメンテーターの方たちから高評価をいただきました。

ゆずの種は、マスコミに取り上げられると、注文殺到で電話やネットがつながりにくくなりますが、この放送でまたまた大爆発。この時にはスキンケア商品を製造していたので、テレビを見た視聴者からシードオイルと合わせてスキンケア商品の注文もあり、多くの人に知られるようになりました。

小さな種に大きな発見

そんな中でも意外だったのが、青ゆずの未熟な種です。

ゆずは初夏に白く可憐な花を付けます。花が終わると小さな青い実が成り、9月頃まで青いまま育っていき、11月の収穫に向けて黄色く色づいていきます。ゆず胡椒の原料になる青ゆずは、果皮の表面を削り取ると、残ったゆず玉の活用方法はありませんでした。そこで、この小さい未熟な種でも何か効果があるのでは?乾燥して何かに使えないか?と研究に取り組んだ結果、青ゆずの種には黄ゆずの種に比べて高い抗酸化作用が確認され、青ゆずの種を使った「青いゆず」シリーズのリンクル化粧品が生まれたのです。

種はすごかった

種のせいで搾汁率は悪いし、食べれば苦い・・と思われていたのですが、ゆずの可能性の秘密は種にこそあったのだと分かりました。

その種から得られるオイルやエキスは、抗酸化作用や美白、乾燥肌の改善や保湿と人の役に立つ産物になりました。

これまで活用されていなかったゆずの種は、スキンケアとして新たな価値が認められることとなりました。

オマケのおはなし

本当は・・・ねえ。

まだまだ種の物語はありました。

種を保存して「もやし」を作る計画です。この計画も、ほぼ実行直前まで行きましたが、種を乾燥してオイルが売れるようになり、もやし計画は中止しています。

もしいつか、日本の食卓にゆずの葉の香りのある「ゆずもやし」が出たとしたら、私達の事を思い出してください。